できる人は「直感」と「論理」を使い分ける|システム1・システム2 行動経済学
システム1・システム2

◎できる人は「直感」と「論理」を使い分ける|システム1・システム2
行動経済学をビジネスに生かす専門家の大岩俊之氏による、認知心理学や行動経済学における「システム1」と「システム2」についての解説です。
人間は常に合理的に考えて物事を選んでいるわけではなく、素早く直感的に判断する「システム1」と、じっくり考えて判断する「システム2」という2つの思考を使い分けています。
例えば、「2+2はいくつか」と聞かれれば自動的に「4」と答えが出ますが、これがシステム1の処理です。
一方、「27×18はいくつか」と聞かれた場合は、意識的に注意を向けて計算する必要があり、これがシステム2の処理になります。
システム1は、速く、直感的で、自動的な思考です。他人の表情から感情を読み取ったり、運転中に人が飛び出してきた際に反射的にブレーキを踏んだりするのがこれに当たります。
システム1のメリットは処理が速いことです。もし朝起きて歯ブラシを持つ手や、靴を履く順番などをすべてじっくり考えていたら生活が成り立たないため、人間は多くのことを自動的に処理しています。
システム2は、遅く、意識的で、論理的な思考です。住宅の購入や転職、複雑な計算、契約書の確認など、慎重な判断が求められる場面で働きます。
システム2はシステム1より慎重ですが、じっくり考えるために「疲れる」という大きな弱点を持っています。人間はずっとシステム2を使い続けることはできません。
そのため、日常的な買い物などではシステム1が大きな役割を果たします。スーパーで牛乳や洗剤を買う際、毎回詳細に比較していると何時間もかかってしまうため、「見慣れたパッケージだから」と直感的に判断しています。
ただし、素早く判断するがゆえに、「高い商品は品質が良い」「有名企業だから安心」といった思い込み(ヒューリスティックや認知バイアス)による間違いを起こすこともあります。
営業活動においては、顧客は担当者が話し始める前からシステム1を働かせています。
服装、表情、声のトーン、資料のデザインなどから「信頼できそうか」を瞬時に判断しているため、第一印象や見せ方は非常に重要です。
また、商品の説明が難しすぎたり、選択肢が多すぎたりすると、顧客のシステム2を無理に使わせることになります。システム2を使わされて脳が疲れると、顧客は「考えるのが面倒だ」と決断を先延ばしにしてしまいます。
これを防ぐためには、「初めての方にはこれ」「人気No.1」といった判断の手がかりを用意し、顧客の認知的負担を減らす工夫が必要です。
ブランド力もまた、消費者のシステム1に働きかけ、意思決定を簡単にする強力な役割を果たします。
一方で、高額商品やリスクが高い選択の場合は、顧客のシステム2が働きます。
このようなケースでは直感だけでは売れないため、入り口ではシステム1に訴えかけて興味を持ってもらい、最終的にはシステム2を納得させるための論理的な根拠や明確な説明が必要です。
システム1とシステム2は脳内で完全に独立した装置というわけではなく、意思決定を理解するための枠組みですが、この構造を理解することでビジネスや営業におけるアプローチは劇的に改善できると結論づけています。
組織の不正・判断ミスを防ぐ講演・研修
組織の不正やコンプライアンス違反は、個人のモラルの問題だけで起こるわけではありません。権威への服従、損失回避、サンクコスト効果など、人間の判断のクセと組織の仕組みが重なることで起こります。
行動経済学・認知バイアスの視点から、「なぜ人と組織は判断を誤るのか」「どうすれば誤りにくい仕組みをつくれるのか」を考える講演・研修を行っています。
著書『とにかく「伝わる」伝え方図鑑』(ぱる出版)
大切なのは、伝えることではなく、「伝わる」こと――
本書では、1万3000人への指導実績がある「伝え方」のプロが、「非言語」「心理学」「行動経済学」を融合した、「伝え方」の最適解を伝授。「言いたいことが伝わらない!」を解消する必読書です。



