「約500万円」より「498万円」のほうが信頼できる! 数字の精度効果 行動経済学
数字の精度効果とは

「約500万円」より「498万円」のほうが、人は、きちんと計算された正確な値と受け取り、信頼します。
数字の精度効果です。丸めた概算は、交渉の余地があると見透かされやすい。
根拠ある具体的な数字は、それ自体が誠実さの証明になる。
提示する一つひとつの数字に、理由を持たせておきます。
数字の精度効果(precision effect)とは、キリのよい数字よりも、細かく具体的な数字のほうが「根拠がありそう」「よく計算されていそう」と受け取られ、判断への影響が強くなる現象です。
たとえば、営業の価格交渉で、
「100万円です」
よりも
「97万8,000円です」と言われたほうが、「何か計算根拠があって、この価格になっているのだろう」と感じやすくなります。
特にアンカリング効果との関係がよく研究されています。
Janiszewski & Uy(2008)は、丸い数字のアンカーよりも精密な数字のアンカーのほうが、そこからの修正幅が小さくなることを示しています。つまり「100万円」より「97万8,500円」のほうが、相手の判断をその数字の近くにとどめやすいということです。
また、交渉研究では、細かい数字で最初の提示をした人は、相手から「詳しい・情報を持っている」と推測されやすく、相手の対案も提示価格に近くなることが確認されています。
営業でいうと、たとえば、
「だいたい300万円になります」
よりも、
「試算すると287万円になります」
のほうが、適当に言っている数字ではなさそうという印象を与えやすい、ということです。
ただし、細かければ細かいほどよいわけではありません。不自然に「2,873,416円です」のようにすると、かえって違和感を持たれることもあります。また、精密な価格は「値引きの余地がなさそう」と感じさせ、交渉そのものを避けさせる可能性も報告されています。
ですので一言でいうと、
「具体的な数字には、ちゃんと計算した数字という説得力が生まれやすい」
という心理効果です。
似たような効果に、端数効果があります。端数効果は、1,000円を980円にすると安く感じるというものです。一番左の桁が「1」から「9」に下がることで、実際の差(20円)以上に安く感じます。
精度効果は、5,000円を4,980円や5,020円のように細かくすると、相手がその数字を基準にして、そこからあまり離れなくなるというものです。細かい数字は「根拠があって計算された数字」に見えるので、値切りや見積もりの幅が小さくなります。
端数効果は「安く見せる」テクニック、精度効果は「この値段には根拠があると思わせる」テクニックといえるでしょう。
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